2007年02月13日

フクジュソウのパラボラアンテナ 2

花の底部の温度

前回も載せた写真です。この21.0℃はいちばん温度が高かった場所の値で、それは花の底部、すなわち、めしべの付け根でした。

それに対して、虫が訪れるおしべやめしべの先端付近の温度はもう少し低い値を示しました。

めしべ先端部の温度

これがめしべの先端部の温度で、19.4℃でした。

このことは、太陽の光が花の底部に集められていることを意味しています。パラボラ(双曲面)アンテナには「焦点」があり、アンテナに直角に入射した電波はアンテナ面で反射して焦点に集まります。そしてその焦点はアンテナ面より少し離れた位置にあるのが普通です。フクジュソウの花の場合も焦点がおしべやめしべの先端付近にあったほうが虫を呼ぶのに都合がよさそうに思うのですが、そうはなっていないのです。

私は、それはフクジュソウの花が太陽を追って向きを変えることと関係があるのではないか、と想像しています。花が太陽に正対しているときは花の底部つまり花の付け根は均等に暖められていますが、花の向きが太陽とずれると花びらに当たる光の量に差が出るので、花の付け根の温度にも差が生じることになります。温度が高い側が低い側よりも成長するとすれば、花は太陽の方に向きを変えることでしょう。

それを確かめるにはもっと精密な実験が必要ですが、フクジュソウの花の振る舞いが温度によって左右されるのは間違いなさそうです。日が差しているときだけ花を開くので光を感じているのかと思っていたら、じつは開花は光の有無ではなくて温度で決まるのだそうです。日光が当たることにより花の温度が上がって初めて開花するのです。たしかに、気温が12℃ほどになると開花し始めるし、もっと気温が高いときは日光を遮っても花が閉じないようです。ちょっと意外な気がしますが、考えてみると、成虫で冬を越すハナアブなどの虫も日光で体温が温まってから動き出すので、日が差しただけで花を開いても意味がないのですね。
posted by 観察人T at 08:01| 東京 ☀| Comment(4) | TrackBack(0) | 植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おはようございます、

すごい研究ですね、機材も始めてみましたし、観察力に驚いております、花びらが、反射板の役で、集熱しているんですね、良い勉強になりました。

これをご縁に、これからも宜しくお願いいたします。
Posted by ふれあいサロン館 at 2007年02月13日 11:12
フクジュソウが花びらで集熱しているのはけっこう有名な話のようです。人から聞いた話は自分で観察してから書くことにしているので、温度を測ってみました。すると、新たな疑問が続々と・・・。
Posted by 観察人T at 2007年02月13日 22:02
驚きました。自然ってすごいですね。
それにしても観察人Tさんの観察にも感嘆するばかりです。
Posted by moshikashite at 2007年02月14日 10:09
moshikashiteさんコメントありがとうございます。
本当に自然のしくみは見事ですね。観察していると驚いたり感心したりの連続です。

ただ、今回のフクジュソウの観察は不十分です。
川岸の柵を乗り越えての温度測定で、時間を十分かけられず、実験条件が不安定でした。
鉢植えの株で詳しく調べるといろいろなことがもっと正確に分かると思います。
Posted by 観察人T at 2007年02月14日 18:31
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